火災調査官は本当にいるの?いません!ただし「火災原因調査官」という職名の吏員は実際にいます



ドラマやマンガで人気の「火災調査官」。将来、火災調査官になりたいという人も多くみられるようになってきました。

しかし、実際の消防吏員に「火災調査官」という職名はありません。ただ「火災原因調査官」という職名の吏員は実際におり、火災の原因の調査活動を行っています。
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消防官の仕事内容は細かく分けると、火事の際に駆けつけて消火する「消火活動」の他に、「救急」「救助」「防災」「予防」などさまざまな種類の仕事内容をこなしています。火災の原因を調査するのもまた大事な仕事です。
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消防も火事を消せばそれで終わりということはなく、警察と合同あるいは独自に火災原因の調査を行う必要があります。

これらの調査活動を担っているのが彼ら調査担当の吏員たちなのです。消防法第35条に以下のような条文があります。

「放火又は失火の疑いのあるときは、その火災の原因の調査の主たる責任及び権限は、消防長又は消防署長にあるものとする。」

この条文が根拠となっているので、火災現場での主たる調査は消防機関が行う手はずになっているのです。そして、調査の過程で出火原因に犯罪性が認められれば、消防は速やかに捜査機関へ通報を行うとともに、証拠の保全に努めています。

また、平成15年度の消防組織法および消防法の一部を改正する法律により、大規模な火災等については消防庁長官の判断により主体的に火災の原因の調査を行うことが出来る制度が導入されています。

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メモ・・・「くまぇりだよ」シュボッ!母校に放火してイジメの記憶の完全燃焼を図った女性放火犯!

2006年、長野県諏訪市内の学校や民家の車庫に火をつけて燃やした”くまぇり”という放火の女の人が逮捕されたことは世間を騒がせました。

この事件では死者こそ出なかったものの、学校で飼育されていたウサギが焼死しています。放火の罪はとても重く、加害によっては無期懲役や死刑にもなりえます。

そもそも火災原因調査で何をするの

0-76ただ、調査と言っても警察以外の司法警察員(労働基準監督官や麻薬取締官など)のように司法警察権はありませんので、強制的な捜査権限があるわけではありません。

日本の消防吏員には犯罪である放火事件の捜査権や犯人逮捕権はありませんからその先の捜査、つまり犯人逮捕は当然、警察の役目になります。

警察のような強制権が無いとはいえ、何度も関係者の元へ出向いて出火の原因調査のための聴取を行います。

ときには放火を疑ったりして、被災者から罵声を浴びせられたりすることもあります。最近、新たに火災保険に入ったばかりですとか、保険金を増額したりということがあれば、やはり消防も疑うわけです。

焼肉店が失火を起こして解体、保険金貰うまでの流れの例ですが、消防署警察署が「これは放火ではなく失火だよ」との判定書が出て、さらに保険会社と調査会社の調査も終るとようやく焼けた建物の解体が許可されます。

これで保険金が出るわけです。

ただ、警察や消防のこのような原因調査の結果と、保険金の支払いとはあまり関係がありません。

当然、犯罪性はないと警察と消防が証明を出しても「何か怪しいから払いません!」と渋る保険会社もあります。そうなると、早く払えやと民事の裁判が行われるわけです。

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画像は埼玉県南西部消防本部の指揮隊調査車。

放火と失火の検証方法

火災原因調査ではまず、失火と放火の区別をつける必要があります。この調査は消防に限らず、警察、それに保険金支払いに際して民間の調査会社も行っています。具体的には、火災現場で燃焼を促進させるような油などの物質の痕跡が無いかを専用の測定装置や、火災調査担当の吏員が直接、自分の鼻を使って臭気を嗅ぎ分けます。また、焼失した家屋の一部を水中に投入して、油分が浮いてこないかを確認する検査方法もあります。

典拠元 放火現場における畳中の油性成分検出量と燃焼性状
https://www.jstage.jst.go.jp/article/massspec/51/1/51_1_205/_pdf

アメリカの消防には”消防捜査官”がいる

一方で、アメリカの消防機関には法の執行権を持つ捜査官がいます。すなわち、警察官のように捜査を行う権限のほか、銃の所持も認められており、いわば消防の中の刑事といったところでしょうか。


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